遺産分割協議の当事者は誰?

2019.07.16 UPDATE

コラム執筆者:弁護士 細越善斉

事例|他の相続人と直接協議することが難しいケース

兄が亡くなりました。相続人は私と弟と妹の3人でしたが、妹も兄の後にすぐに亡くなってしまいました。妹には、2人の子供がいたので、兄の現在の相続人は、私と弟、妹の子供A(成人)とB(未成年)の4人です。


弟は、50歳で若年性アルツハイマー型認知症となってしまったため、私が裁判所に申立てを行い、現在、裁判所選任の弁護士が成年後見人に就いています。また、Aは突然音信不通になってしまい、ここ数年、まったく連絡がつきません。Bには未成年後見人が選任されています。

このように複雑な状況ですが、、兄の遺産については、誰との間で遺産分割協議を行えばよいのでしょうか?また、そのために必要な手続き等は何かあるのでしょうか?

架空の事例です

はじめに

遺産分割協議は相続人全員で行わないと無効ですので、所在不明の行方不明者や成年被後見人がいる場合は、その者に代わって法律行為を行う法定代理人を当事者として、遺産分割協議を行わなければいけません。

事例のケースですと、「不在者財産管理人」」や「成年後見人」、「未成年後見人」を当事者として、遺産分割協議をする必要があります。

それでは以下で詳しく見ていきましょう。

目次

 ■ 遺産分割協議は相続人全員で行わなければならない
 ■ 行方不明者がいる場合
 ■ 成年被後見人・未成年者がいる場合

遺産分割協議は相続人全員で行わなければならない

遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。

相続人の数が3人でも、5人でも、30人でも、誰か1人でも参加しなかった遺産分割協議は無効です。

法定相続人の範囲は戸籍等から明らかです。他の相続人が遠方にいる、入院している、海外にいる、連絡先を知らないといったような場合でも、相続人全員の合意で遺産分割協議を成立させる必要があります。

戸籍等から判明した相続人全員を当事者とした遺産分割協議書や印鑑証明書が提出できなければ、相続登記や預金解約など相続手続を進めることができません。

行方不明者がいる場合

相続人の中に行方不明者がいる場合であっても、その相続人を無視して遺産分割を進めることはできません。

行方不明者がいる場合には、まず、戸籍の附票から現在の住民票上の住所を調査して、書面を送付し、現地に行くなどして所在調査を行います。

それでも所在が分からない場合には、家庭裁判所に対し、不在者財産管理人の選任を申し立てる必要があります。

申立ての際は、不在を証明する書類として、警察署長の発行する行方不明者届受理証明書や、不在者あての手紙などで「あて所に尋ね当たらず」などの理由が付されて返送されたもの等、を提出する必要があります。

そして、不在者財産管理人が選任された場合、家庭裁判所の許可を受けたうえで(民法28条)、不在者財産管理人が行方不明者に代わり遺産分割協議を行うことになります。

成年被後見人・未成年者がいる場合

相続人の中に成年被後見人がいる場合、成年後見人が法定代理人として遺産分割協議を行います。

仮に、判断能力を欠いているが成年後見人が選任されていない場合には、遺産分割の前提として、まずは後見開始の審判を申し立て、成年後見人を選任する必要があります。

また、相続人の中に未成年者がいる場合で未成年後見人が選任されている場合には、同様に、未成年後見人が法定代理人として遺産分割協議を行うことになります。

  • 01遺産分割協議は相続人全員で行わないと無効
  • 02行方不明者がいる場合は不在者財産管理人が裁判所の許可を受けて遺産分割協議を行う
  • 03成年被後見人・未成年者がいる場合は、各後見人が遺産分割協議を行う

まとめ

いかがでしたか。相続人本人との間で遺産分割協議を行うことが難しい場合でも、遺産分割協議を有効に成立させるためには、相続人本人に代わって法律行為を行える者を選任し、代理人を通じて、相続人全員を遺産分割協議の当事者とする必要があります。

事例のケースでは、所在調査によってもAが行方不明だった場合、相談者(二男)はまず、Aの不在者財産管理人の選任申立てをしたうえで、Aの不在者財産管理人、弟(三男)の成年後見人、Bの未成年後見人との間で、長男の遺産分割協議を行う必要があります。

ここまで各相続人に色々な事情があるケースは稀だと思いますが、、相続人の中に、認知症で判断能力がない人がいる、行方不明者がいる、というケースは比較的あると思いますので、その場合は、遺産分割の前提として、代わりに遺産分割協議の当事者となる人を選任する必要がある、ということは是非覚えておいてください。

コラム執筆者:弁護士 細越善斉

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