相続財産の探し方

2019.12.11 UPDATE

コラム執筆者:弁護士 細越善斉

事例|秘密主義だった父の相続財産が分からないケース

父が亡くなりました。すでに母は他界しているので、相続人は私と兄、妹の3人です。


父は秘密主義だったので、父がどのような財産を持っていたのか分からず困っています。複数の金融機関で取引していたので預貯金口座がいくつもありそうですし、普通預金だけではなく定期預金もあると思います。株式の取引もしていたようですし、不動産も自宅以外に複数あります。もしかして負債もあったのかもしれません。

父の財産を把握できず、遺産分割協議を始めることができていません。このような場合に、漏れなく相続財産を特定するにはどうしたらよいのでしょうか?

架空の事例です

はじめに

遺産分割を行う場合には、その前提として、まず、相続財産を特定する必要があります。相続財産の調査方法は、相続財産の種類ごとに異なりますが、弁護士に依頼して相続財産調査を行うのが最も確実といえるでしょう。

それでは以下で詳しく見ていきましょう。

目次

 ■ 1.相続財産調査が終わらないと遺産分割できない
 ■ 2.預貯金の調べ方
 ■ 3.株式の調べ方
 ■ 4.不動産の調べ方
 ■ 5.負債の調べ方
 ■ 6.相続財産調査に必要な書類
 ■ 7.相続財産調査は弁護士に依頼する

1.相続財産調査が終わらないと遺産分割できない

今回お困りの方は父親の残した財産内容が不明で困っておられますが、このように「残された遺産内容が不明」なままでは遺産分割を始められません。なぜなら、相続人間で遺産分割協議をする際、前提として相続財産(遺産)の範囲が明らかになっている必要があるからです。

分ける対象となるべき遺産が不明ではご兄弟3人で遺産分割協議を進めることもできませんし、判明している遺産だけで遺産分割協議を行ったとしても、後に新たに遺産が発見されたらその時点でその遺産をどう分けるか決めねばならず、結局二度手間となってしまいます。

そこで、被相続人の遺産内容がわからない場合、相続財産調査を行って遺産内容を特定する必要があります。

以下では遺産の種類ごとに調べ方をご紹介します。

2.預貯金の調べ方

ほとんどの相続のケースでは、遺産として預貯金が残されているものです。預貯金については、相続人が預け先の金融機関に照会をすれば明細を開示してもらえます。

預金通帳があれば記帳して相続開始時と現在の残高を確認することができます。

通帳がない場合には、相続開始時の残高証明書と相続開始前後の取引履歴を取得するのがよいでしょう。取引履歴を確認することにより、相続人による使い込みの有無なども確認できます。

預貯金の調査は、金融機関ごとに個別に行わねばならないので注意が必要です。どこの金融機関に口座があるかすらわからない場合、まずは調査対象の金融機関を特定することから始めるしかありません。

通帳や証書、自宅宛に届いている郵便の案内などから、調査対象とする金融機関を見定めましょう。

3.株式の調べ方

被相続人が株式取引をしていた場合、株式の預け先である証券会社や株式を管理している信託銀行に問合せをすれば取引内容の開示を受けられます。

上場株式を保有していれば、証券会社から「取引残高証明書」が届いたり信託銀行から株主総会や配当金の案内が届いたりしているはずなので、そういった郵便物を探してみましょう。通帳に配当金が振り込まれているケースもよくあります。

どこの証券会社に口座があるかわからない場合「証券保管振替機構」宛てに問合せをしてみましょう。どの会社の株式か特定して相続人が照会すれば取引している証券会社が判明するので、後はその証券会社に取引内容の開示を請求できます。

4.不動産の調べ方

被相続人が不動産を所有していた場合、基本的には自宅内に保管してある不動産の権利証(登記識別情報通知)や不動産の登記簿謄本、全部事項証明書などを確認すれば詳細がわかります。

不動産の数が多い場合や上記の資料がない場合には、市区町村役場で名寄帳(固定資産課税台帳)を取得してみましょう。

名寄帳とは、各市区町村が地域内の不動産所有者に固定資産税を課税するために管理している名簿であり、地域内の不動産とその所有者(登記簿上の所有名義人)が一覧で掲載されています。これをみれば、被相続人が同一市町村内に所有している不動産がすべて明らかになるので、地元に多数の土地を所有しているケースなどで非常に有用です。

ただし、開示を受けられるのは「その市区町村内の不動産」のみなので、別の市区町村にも不動産をお持ちの場合、そちらの市区町村役場へ、別途名寄帳開示の申請が必要となります。

5.負債の調べ方

相続が発生したときには「負債」についても調査しておきましょう。仮に負債を認識せずに相続開始から一定期間が経過してしまうと、相続放棄をできなくなってしまう場合があります。

負債を調べたいときには、借用書や貸金業者などへの振込送金の記録、貸付残高通知書やその他の契約書類がないか調べてみまましょう。預金通帳の履歴から、借金の返済が判明し、負債があることが分かる場合もあります。

死亡後には口座も凍結され、支払いが滞るため、電話や郵便で督促が来ることが少なくありませんので、留守番電話や郵便物も確認してみましょう。

6.相続財産調査に必要な書類

銀行や証券会社などへ相続財産調査をするときには、基本的に以下のような書類が必要となるので、手元に用意しておくとよいと思います。

死亡したことがわかる戸籍謄本

被相続人が死亡したことがわかる戸籍謄本や除籍謄本などが必要です。

相続人であることがわかる戸籍謄本

請求者が相続人であることがわかる戸籍謄本などの書類が必要です。

相続財産の資料

預貯金通帳、郵便による連絡書類などがあると、口座番号などが特定でき、相続財産調査がスムーズに進みます。

本人確認資料

運転免許証、住基カードなどを準備しましょう。

7.相続財産調査は弁護士に依頼する

相続人の方がご自身で相続財産調査をするのは、正直、大変な手間と言えると思います。

預貯金口座が多い場合、どこの銀行に口座があるのか判然としない場合、株式の照会方法がわかりにくい場合、名寄帳の取り寄せ方や見方がよくわからない、ということが考えられますし、調査のための必要書類を集めること自体が一苦労、ということもあるでしょう。

そこで、確実かつスピーディーに相続財産を調査するためには、弁護士に相続財産調査をご依頼いただくことをお勧めいたします。

弁護士は弁護士会照会という方法で、預貯金や株式、保険や不動産などの各種の相続財産の調査を行うことができます。

また、弁護士が相続財産調査をした場合、調査結果をわかりやすく遺産目録にまとめて相続人の方にお渡ししますので、そのまま遺産分割協議に役立てていただくことも可能となります。

  • 01遺産分割の前提として相続財産を特定する必要がある
  • 02各遺産ごとに、調査方法は異なる
  • 03確実かつスピーディーに相続財産調査を行うためには、弁護士照会を利用する

まとめ

いかがでしたか。相続財産の内容についてまったく不明の場合でも、残された遺品や郵送物等からヒントを得て、亡くなられた方がどこに、どのような財産を、どれだけの量持っていたかについて、調べていくことになります。
そして、その調査を弁護士に依頼すると、弁護士会照会という制度を利用して、確実かつスピーディーに相続財産調査を行えることが多いといえます。

相続財産の範囲を正確に把握するためには、弁護士へのご依頼をご検討されてみてはいかがでしょうか。

コラム執筆者:弁護士 細越善斉

この記事をSNSでシェアする

  • Facebook
  • Twitter

弁護士への無料相談はこちらCONTACT US

ご相談内容などをご入力の上、お問い合わせください。後日ご連絡差し上げます。
※ご入力いただいた個人情報は、お問い合わせに対応する目的の範囲内でのみ利用させていただきます。

カテゴリーから記事を探す

FOLLOW US

  • Facebook
  • Twitter