遺産相続の基礎知識12相続不動産

基礎知識12-1相続不動産の管理

遺産共有の相続不動産についても、民法上の物権共有と同様に解されているため(最判昭和30年5月31日)、各共同相続人が行える行為については、民法249条以下が適用されることになります。

すなわち、保存行為については単独で、管理行為については持分過半数で、変更行為については全員の同意により行うことが必要となります。

なお、賃貸借契約の締結や解除も管理行為と解されていますので(最判昭和39年1月23日)、原則として、遺産が収益物件の場合、遺産分割協議が成立するまでの間に新たな入居者を募集する際は、持分過半数の同意が必要となります。もっとも、短期賃貸借の期間を超えて賃貸借契約を締結する場合は管理行為にあたらず(東京高判昭和50年9月29日参照)、また借地借家法の適用がある賃貸借契約を締結する場合は、原則として変更行為として共有者全員の同意が必要と解されていますので(東京地判平成14年11月25日参照)、注意が必要です。

基礎知識12-2共有不動産から生じている賃料収入

各共有者は、共有物の全部を持分に応じて使用することができます(民法249条)。しかし、共有不動産から発生している賃料を1人の共有者のみが独占している場合、他の共有者は、自己の持分に応じた使用が妨げられていることになります。そこで、賃料収入を独占している共有者に対し、不当利得ないし不法行為の損害賠償として、自己の持分割合に応じた賃料収入に基づく利益の分配を請求することができます(最判平成12年4月7日参照)。

基礎知識12-3共有不動産の解消

遺産分割協議の結果、不動産が共有となった場合、その後に共有関係を解消するためには、共有物分割(民法256条1項)の方法によることになります。そして、話合いによる解決ができなかった場合には、裁判所に共有物分割請求訴訟を提起することになります。

分割方法としては、現実分割(分筆するなどして、現実に分割する)、換価分割(共有物を売却し、売却代金を持分割合に応じて分配する)のほか、価格賠償(一部の共有者のみが取得し、他の共有者には代償金を支払う)という方法があります。

基礎知識12-4相続不動産の時効取得

共有不動産については、共有者のうち1名が単独で使用をしている場合でも、それは共有権に基づく単独使用に過ぎず(民法249条)、他の共有者の共有持分については、当然には自主占有(所有の意思をもってする占有)にはあたりません。

もっとも、ある不動産について、共同相続人のうち1名が被相続人から単独で相続したものと信じて疑わず、相続開始とともに不動産を占有し、その管理や使用を専行して収益を独占し、公租公課も負担してきたという事情があり、これに対し、他の相続人が何ら関心を持たずに異議を述べなかったというような事情がある場合には、相続を契機に単独で占有を開始した相続人は、相続の時から自主占有を取得したものとして、共有持分権を時効取得できる場合があります(最判昭和46年11月30日、最判平成8年11月12日、東京地判平成22年3月25日参照)。

また、当事務所が実際に取り扱った事例ですが、ある不動産について、真実は被相続人の所有でなかった場合でも、被相続人の所有であると信じて疑わなかった特別の事情がある場合に、時効取得が認められたケースもあります。

不動産の時効取得が認められるか否かは個別の事情によって異なりますので、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。

基礎知識12-5空き家特例

相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋及びその敷地を、平成28年4月1日から平成31年(2019年)12月31日までの間に売却した場合、一定の要件のもとで、譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除することができます。これを、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます(租税特別措置法35条)。

空き家譲渡の特例を受けるためには、①家屋及び土地の両方を相続していること、②売却の対価が1億円以下であること、その他の要件を満たしている必要がありますが、詳細については相続に詳しい税理士・不動産会社にご相談されることをお勧めします。

弁護士への無料相談はこちらCONTACT US

ご相談内容などをご入力の上、お問い合わせください。後日ご連絡差し上げます。
※ご入力いただいた個人情報は、お問い合わせに対応する目的の範囲内でのみ利用させていただきます。

カテゴリーから記事を探す

FOLLOW US

  • Facebook
  • Twitter